一隅を照らしたい凡人の札所巡り
開基について
| 行基 |
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2015年5月18日 |
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山の崖観音や東京高尾の薬王院も同じく行基が開基である。 西国33札所の5番と30番も行基を開基としている。 簡単に仏教の歴史を復習すると 伝来が５３８年。 興隆に努めた聖徳太子は５７４年から６２２年。 隅田川にて観音像が示現したのが６２８年。 山岳修験者の開祖 役の行者が６３４年から７０１年。 西国３３札所の開創者といわれる 徳道上人が６５６年から７３５年。 奈良の大仏建立に功績があり、畿内の各寺院の創建に尽力した行基 が６６８年から７４９年 空海が７７４年から８３５年 そして、坂東33札所の成立が鎌倉時代初期と言われている（27世清水 谷孝尚貫首に拠る） 行基像（近鉄奈良駅前） 行基が開基とされる西国３３札所と関東地方の主要な寺院の一覧を表１に示す。行基４１歳から７６歳ま での間である。 又、本尊が行基によって造られた仏像と称する寺院は秩父３４札所にも多数存在する。 行基が中央政権によって弾圧を受けたのが７１７年（４９歳）、弾圧解除が７３１年（６３歳） 資料によれ ば（例えば注１参照） 行基は摂津、和泉、河内、山城、大和の五ヵ国にて （西暦７０５〜７４５年にて） 計４９の寺院を創設（開基）したとされている。 その合間に 途中に東海地方が存在する 坂東の地にまで来て寺院を開基することはさぞかし困難であっ たであろうと思う。 しかし 情報網が発達していなかった 平安朝以前において 坂東各地の当時の有力寺院が個々に権威 付けの意味で 当寺院だけは例外的と 特別に開基を行基と願い、信じ、記録したことも自然であったと思 う。 鎌倉幕府も 坂東３３札所の成立を見守った際に、行基を開基とする寺院があまりに 多いことに気付いた であろうが、めくじらを立てる必要も無いとして 看過したのであろう。 |
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表１. 行基が開基とされる関東主要寺院一覧（含む西国３３札所寺院） |
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参考資料 *注１（行基菩薩開基４９院） |
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| 徳道上人 |
| 西国８番札所大和長谷寺の開基 徳道上人は上述の通り、西暦７３５年に没しているが、坂東４番札所鎌倉長谷寺の寺伝では７３６年に上人が畿内から東下して開基したと記されている。 これも当時は気付かなかったか、気付いたとしても表沙汰を避けたのであろう。… |
| 慈覚大師（円仁） 改めて、坂東３３札所の開基を 寺院の創設（伝）の順に表に纏めて表２を得る。 ３３の札所の中、１人で２寺以上を開基したのは、９寺の行基の他、３寺の慈覚大師（円仁）、２寺の勝道上人。同じく２寺の役行者である。 天台宗開祖最澄の高弟である円仁の履歴は仔細に記録されてはいるが、３２番札所清水寺を創設したとの寺伝の８０７年は 円仁が未だ比叡山に登る前年の１４歳のときである。 表２. 坂東３３札所の開基に関する諸量（創設（伝）順）
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役行者 |
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吉野の金峯山寺を初めとして鳥取県の三仏寺等全国に開基とされる寺院がある。 乱暴な比較をすれば、行基は里山に近い寺院を開創し、山岳部の寺院の多くは役行者を開基としている。 坂東３３札所一番の難所八溝山が役行者の開創であることは頷ける。 江戸３３観音番外・海雲寺境内の 役行者像 勝道上人の開創２観音は別として 同じく山岳部に位置する９番札所都幾山慈光寺についても 再度確認すると、僧慈訓 を開基としているが、役行者が伊豆配流の後、立寄ったとの記述がある。 役行者も 行基と同様な役割を担わされていたと思う。 トップに戻る ８８札所へ 観音巡礼へ |
