秩父２巡目を終えて思うこと

2014年12月8日

　札所巡りの構成は　各札所での納経・読誦・御朱印受領の一連の所作と各札所間を辿る一連の行為に大別できると思う。
　札所での一連の所作に関しては　当然　その所作への集中度そのものに意義があるのであって、巡った回数とは関係なく、従って一巡目と二順目とに大きな違いは無いと思う。
　ただ、一巡目に読誦した時の心の動きや本堂での景色などの事象が鮮明に記憶に残っておれば、二巡目の所作開始前に甦り、集中度をより、高める役割を果たすかも知れない。
　しかし心が乱れていれば、逆にそのような記憶は集中度の妨げであろう。
　深く考えなければ一巡目の反省　（　例えば、鐘楼の有無を意識せず、御朱印受領後に存在に気付いた場合。　境内の由緒ある旧跡やビュウポイント等を事後にガイドブック等で知りえたことなど　）　を踏まえて訪れれば　より充実した満足感は得られるであろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２３番札所の鐘

　未踏の場所については事前にガイドブックを読んでいても、確実に把握することは難しい。一度　実際に見聞したことを書物等にて整理して　二度目に訪れた時に再確認できれば知識として身につける可能性が高まることは先人の言うとおりである。
　その意味で　今回　２巡目を結願できたことは有意義であったと思う。

　前回は特に目立った行事が行われなかった歳に巡れたが、今回は６０年に１度の（実際には１２年に１度）総開帳の歳で、各札所での混雑度は比較にならず、　其の為、御朱印受領時に（御住職を含む）係りの方との会話の機会は大幅に減少した。　　出来得れば　今後、他の札所巡りを実施させて頂く場合、今回の経験を活かしたいと思う。

　西国や坂東と異なり、秩父札所巡りは　四国八十八箇所巡りと同様に、札所間を辿る行為そのものにも無視できない意義があると　今回再確認する。

　江戸時代以前に設置された石製の道標に導かれて　札所間を巡る行為は札所内での一連の所作に繋がる、ウオーミングアップの一種とも位置づけられる。
　江戸時代にも　この道を多くの巡礼者が辿ったのだと思いながら辿ることで、一種の高揚感が生まれることは確かで、出来うる限り、保全された道を辿りたいと誰しもが思う。
　一方、与えられた時間その他の制約で、効率よく札所間を巡りたい望みも並存する。
　古来　この二つの流れの妥協点から、遍路道は変遷してきたと容易く思う。
　西武鉄道が発行している　『ちちぶ札所巡り』のマップに記された遍路道も前回使用した２０１０年８月版と今回の２０１４年６月版ではルートが一部変更されており、今回のマップでは長尾道を辿って１３地蔵に至る古道は省かれている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１２番札所野坂寺

（既に　２０１０年版でも、３０番、３１番札所間の古道の一部が省略記載されていることが、現地を歩いてみて　初めて判る。）
　このようなことは、遍路道を１度歩いただけでは気付かぬが　気付けば良いとも断言できない。
　只、東京から　全て日帰りで、全行程を徒歩での最短の５日間での区切り遍路を行う場合、江戸古道や、２６番や３２番の奥の院をも巡るのは不可能であり、今回のように２巡に分けざるを得ない。
　全札所間を日帰りの徒歩のみでつなぎ、しかも古道と奥の院の踏破の条件をも満たすには、１札所に最低３０分は要すると仮定して、合計何日を割り当てればよいか、いずれ計算しておきたいと思う。

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