想うこと

鎌倉３３観音巡りを終えての想い

平成２８年７月１８日

　江戸３３観音に引き続き、今回無事に友人達との一緒の鎌倉３３観音巡りを結願することができた。

　３３の寺院のうち、既に訪れていた寺院は８寺、参拝してはいないが過去に門前を通過したことがあると、マップ上で確認できた寺院は９寺で、合わせて１７寺で、３３の丁度半分。
　江戸３３観音の時のように土地勘も働かず、後から見直すと、行程の立て方に無駄が在った事が判る。
　計６日を要したが、日程に工夫を凝らせば　ゆとりをもって５日にて巡れたと反省。
　不平も言わず同行して頂いた友人達には申し訳なく思う。
　云うまでも無く、観世音菩薩は３３（即ち無数）の姿に身を変えて、我々凡人を如何なる時も救済される現生御利益のありがたい仏様で在る。
　それと同時にまた　他の諸仏と共に、（例えば不動明王尊や地蔵菩薩）亡くなった方々を極楽に導く役割を担っていると信ぜられ, 信仰の対象となってきた。
　江戸期に隆盛をみる１００観音信仰の中で、日本各地に成立した３３観音巡りの一つとして、江戸３３観音等と同様に、鎌倉の地域にも３３の札所が成立したと、先代浅草寺貫主の著作に記されていたと記憶する。
　その後の明治期の廃仏毀釈の混乱などで、成立期の札所加盟のお寺さんに興亡などがあり、鎌倉３３観音も他の札所と同様に構成寺院選定の見直しがなされたと推測するが、最終的には大正から昭和の初期に現在の３３の札所に確定されたと記されている。
　　　　　　　　　　　鎌倉市街図

１２番札所教恩寺山門　　１６羅漢像

　　大正から昭和の初期とは私達の祖父、祖母が活躍していた時代で、そう古い時代では無い。

　　どのような根拠、理由に拠って、どのような組織が新規に加入する寺院を決めたのかは、私には伺い知れない。
　江戸期の当初成立時の加盟寺で、現在も加盟しているのは、５番の来迎寺、２４番の寿福寺、２６番の海蔵寺、２８番の建長寺、３２番の東慶寺、３３番の円覚寺の計６寺に過ぎない。
　　坂東３３観音構成の杉本寺や長谷寺。それに、鎌倉五山の浄妙寺も途中からの参入組である。

　　私達は亡者の霊を慰め、癒しを求める手段の一つとして、観世音菩薩を信じ、経を読む。
　　その具体的対象として観世音菩薩像がある。

　　各地にて信仰を集めた観世音菩薩像を祀る寺院に対して遠隔の地から拝礼に詣でるのが巡礼であり、諸々の事情で、西国に続き、坂東が成立し、秩父が対象の地と認められた。
　　これらの経緯を整理した上で、今回の鎌倉３３観音札所巡りを振り返ってみる。
　　３３の札所にて、天台宗が２、浄土宗が8、時宗が6、真言宗系が5、臨済宗系が12　で、観音菩薩像を祀っていない宗派は当然含まれていない。(　この五つの宗派にて、鎌倉１３仏や鎌倉２４地蔵の加盟寺院も構成されている。）　
　　この宗派の中で、諸々の当時の条件を満足した寺院が適切と認められ札所の番号を受領したのであろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３１番札所浄智寺境内　　母子像

　　その諸条件を私達は現在知る由が無い。
　　今回、巡って証しとして頂いた御朱印帳を改めて、順に捲り、拝覧してみる。
　　夫々、達筆で、誠意が滲み出るようなページが続く中で、そうとは思われにくいページも散見する。

　　そのページに該当する札所に詣でた時の印象を思い出してみる。　
　　そのような札所での　お寺さん側の参拝者への対応は　先程記した札所の適格性を満たすには十分ではなかったように思う。
　　戦後に成立したと云われる、鎌倉１３仏の構成寺院も亡者へ接する該当の諸如来、諸菩薩、王の御像を所有しているだけではなく、当時の札所としての諸基準に合格したからなのであろう。
　　偶然かどうか判らぬが、御朱印帳の奇異な感じを受けるページの該当寺院は１３仏の構成寺院には選定されていない。
　　ひと月に何人の方々が３３観音巡りをされているのか、データを得る術が無いが、私と同様な想いを有する巡礼者が多くなれば、札所の交替も　自ずと行われるであろう。
　３３の寺院が設立時から未来永劫に続くという発想自体が　仏の教えに　そぐわないと　先人も説いている。

鎌倉３３観音巡り先頭に戻る

観音巡り先頭に戻る

ＴＯＰに戻る