一隅を照らしたい凡人の札所巡り
秩父34観音（3巡目）（２日目）
| 区切り2回目 （９〜15番札所） |
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2017年５月１３日 |
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特急レッドアロー号にて 一旦西武秩父駅まで乗り、折返し各駅停車にて9時31分横瀬駅に降り立つと、旅行会社の係員が社旗を持って待ち構えている。 傍らのテント横には『武甲山ハイキングコース』の看板が建ち、大型バスが停車している。 多分、後続の下り電車にて来る申込参加者を収容して、武甲山ふもとまで運ぶのであろう。 我々4人は改めて、簡易レインコート等を着、雨傘を差して線路伝いに9番札所明智寺を目指す。 過去2回は何れも8番札所からの順路を辿って来たが今回は逆方向の横瀬駅から向かう為 暫く線路伝いに戻る心算でいたが程無く、9番札所への近道案内札が現れた。 八大竜王社御神木 8番札所からでは無く、今回の我々のように直接 横瀬駅から訪れる遍路者が多い為、関係者が配慮して設けた道標なのであろう。感謝して左折し、ジャガイモ畑や芥子の花を眺めながら坂を下り、再度登って見覚えのある路と合流して札所に到着。 小雨の中、蝋燭と線香を供え、堂内にて皆と観音経偈と般若心経を読誦し、左の納経所にて前回同様自分は笈摺に御朱印を頂き、友人達は納経帳を提出する。 前回同様、納経所には『東日本大震災募金』として、散華の入った函が設置されている。 硬貨を投じて2枚頂く。 札所を出た処で周辺案内マップを頂かなかったことを思いだし、戻ろうとしたが、他の巡礼者一行が並んでいたため、そのまま、国道299号線に向かう。 前回巡礼時、お寺さん発行のマップに記載の横瀬中学校脇を通る遍路道が見つからず、又、田畑に縦横に道が拡張、若しくは新設中で在ったのを思いだし、皆には、マップに記載の順路には江戸古道の面影が全然残っていないことを告げ、今回は国道を早めに右折し、武甲温泉前を経由することとした。 広大な校庭を抱える横瀬小学校を左に見ながら右の対岸に眼を遣ると、先日の7番札所法長寺の伽藍を認める。 正規の遍路道を辿り、正門から入ｔったので気付かなかったが、実はお寺さんは横瀬川の断崖の上に建立されていたことが判る。 日帰り湯武甲温泉を左下に見ながら拡張された和田河原橋を渡る。 川を横切って数本のワイヤーが張られている。多分一週間前までは多くの鯉幟がこのロープに架けられ泳いでいたのであろうと一同推測。 それにしても、この界隈を含み、先月の第1回目の時からなんとなく気付いていたが、各民家の庭先や通りの路肩に様々な草花が見事に植栽され、咲き乱れているのに驚く。 各家庭がそれなりに手間暇をかけて育成しているのであろう。 過去2回の巡礼時は何れも9月下旬から11月にかけて巡っていたため、曼珠沙華程度しか目につかなかったが今回は多様な色彩の花々が我々を楽しませてくれる。 同行の1人が植物に造詣が深く、逐一立ち止まっては我々に講釈してくれる。 ありがたいが、老いた身に余りにも多大な情報を一度に受けても反芻しきれず、マロニエ、栃の花、桐の花、等を聞いた記憶しか残っていない。 十字路を左折して横瀬大橋を渡る。橋桁３０メートル余はあるかと思う峡谷を跨ぐ鉄骨橋梁。 この橋の完成によってこの地域の方々の行動半径が劇的に変化したであろうことは想像に難くない。 田植えの済んだ田んぼの脇を蛙の合唱を聴きながら正面に１０番札所大慈寺の伽藍を認め、程無く県道１１号に達する。 この10番札所にも６年前に武甲山登山の翌日、皆と１度訪れているが、今回は革めて蝋燭、線香を灯し、向拝にて読誦。 御朱印等受領後、賓頭盧様の耳、肩、膝等 各自それぞれを撫で、外縁にて菓子、果物、コーヒー等分かち合い、小休止後、小雨やまぬ中、阿吽の両像に見送られて１１番常楽寺に向かう。 本来ならば、大慈寺裏から尾根伝いに古道を常楽寺手前の稲荷神社に抜ける予定であったが、『雨でぬかるんでいるので勧められない』の言葉に従い、県道に出る。 以前は確か かぼちゃ畑であったはずが、芝が植えられている農地？を見ながら秩父市内に入る。 時計を見ると１１時４０分。読誦後では正午に間に合わない為、11番札所常楽寺では納経所にて御朱印等をまず頂く。 降り頻る雨の中、正面扉開かぬ向拝にて読誦。 本堂前からは恐らくは過って正式の参道であったであろう急傾斜の石段があるが、その前方の墓地やコンビニを認めると下る気にもならず、元の坂道を引返し、国道299号の横断歩道を渡る。 |
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| 羊山公園の北麓、遍路札の下がる細道（此処にも様々な草花が植栽されている）を西進する。 軽4輪が辛うじて通行可能な狭隘な遍路道だが、過去2回の巡礼時は何れも、11番札所から西武秩父駅、若しくは15番少林寺へと辿っていたため、自分にとっての処女地であり、秩父市内のこれまでとはまた一味違う風景画であると感じる。 |
| 多分、西武鉄道の父への延伸工事に伴い、移設されたのであろう墓地群を左にみて、トンネルを潜り、12番札所野坂寺山門の横に到着。 | |
止まぬ雨の中、半開きの本堂扉越しに本尊を拝し、向拝にて一同 観音経全巻と般若心経を読誦。 回廊横の蓮の花を愛でた後、左側の寺務所にて、御朱印等を請う。 住職は我々に順に筆を走らす合間に、『庫裏にておはぎを作っているので、横に廻って、声を掛けて、召し上がってください。』とのこと。 一同、思いもよらぬ申し出にびっくりしていると、尚 『 よろしければ、堂内に入って、直接 観音様を拝んで下さい。 』との言葉を頂く。 左に回ると、藤棚の下にいくつかの縁台が設置されており、3名の御婦人方が談笑中で在ったが、我々が 『 おはぎを頂けるそうで・・・ 』 と 申し出ると、『 お待ちください 』 と全員 奥に姿を消す。 間もなく、利発そうな少女がお盆に4ヶの菓子皿を乗せて現れ、我々の前に丁寧に置き、勧める。 早速 食す。 美味い。 御婦人の1人が同じく茶碗を乗せたお盆を持って庫裏から出、我々に供する。 本堂横の蓮の花が見事と話すと、つい先日までは藤が見頃であって、大勢の見物客でたいそうな賑わいであったとのこと。 おはぎについては、 『今日は 5月13日の13仏の日なので、御供え用に 朝から皆で おはぎを 作り、皆様にも頂いてもらっています。』 とのこと。 我々は知らずして、1年に1度の 13仏の日 に野坂寺を訪れたことになる。 これから13番札所に行く前に、近くで昼食を摂りたいが、お勧めのお店がありますか？と 一人が常楽寺にて入手した札所案内図を片手に問うと、御婦人は これでは判り難いと先程の少女に 『うちのを持ってきて！』と言い、『何か、お好みはありますか？』 と問う。 少女は片手に数枚の案内図を持って戻り、指示した御婦人と我々に1枚ずつを渡す。 『このお店は止めてしまったし、 このお店は美味しいが（秩父産では無い）信州のお蕎麦屋さんだし、駅前のこのお店は・・・』 と傍の御婦人達と相談を続ける。 今まで、にこやかに黙って聞いていた同行の1人が 『 ありがとうございます。いずれにしろ、一旦駅前に戻ってみます。』 と後を引き取る。 彼の近しい親族が此処秩父市中心地区に居住していると承知している我々は、改めて、住職の母堂に礼を述べ、許しを得て、本堂外陣に入る。 本尊に改めて拝礼。向かって右側には『 観自在 』 と大書した扁額が掛かっている。 本堂内壁には 秩父34札所の本堂が1枚ずつ墨絵にて丁寧に描かれている。 1枚1枚 その前に立ち、火って訪れた際の状況を思い出してみる。 全て懐かしく思う。 写真に撮った物とは何か違う。 山門脇の十三尊仏像堂に入る。 昨年 鎌倉33観音を巡る際に、鎌倉13仏巡りも候補として登っていただけに、皆 各 如来、菩薩を熱心に見る。 妙見様の像もあり、一人が12支守り本尊との兼ね合いを尋ねたが、良く判らない。 12支の話は仏教成立の頃から在るが、12支の夫々に、 千手観世音菩薩、虚空菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、勢至菩薩、大日如来、不動明王、阿弥陀如来の８尊がどのような経緯で割り当てられたか自分には良く判らないと伝えた。 （密教の仏である、大日如来、阿弥陀如来 が含まれているので、タイやカンボジアでの地ではこの１２支守り本尊の発想は無いのかもしれない。 この8尊に、釈迦如来、地蔵菩薩、弥勒菩薩、薬師如来、阿?如来（アショカニョライ）の仏様を加えると１３尊となるが、初七日の不動明王から、１３回忌の大日如来までの順序も凡人には測り知れない。 西武秩父駅に戻る途中、『秩父名物』の幡の建つ飲食店の前を通る。 先程の彼に 『名物？』 と訊くと、聞いたことが無いとのこと。 彼はせっかく来たのだからと 多少遠いが旨い地元の店へ と我々を秩父神社の北側国道２９９号線沿いの蕎麦屋に導いてくれた。 他にも旨い店は多々在るが、時刻も遅いので、近場の確実な店を選んだとのこと。 午後２時少し前に入る。店内空いていたが、立て続けに後続３団体が入店。幸運！ わらじ丼セットを注文。旨くボリューム満点。 同行の１人が『旨いが食べきれない』と 悲鳴を上げる。 それでも完食。 小休止後、予定していた秩父神社参拝は後日として１５番札所少林寺へ向かう。 記憶が朧気の為、１２番札所で受領の案内図を頼りに参道に出る。 秩父鉄道の路線越しに正面が少林寺山門。 残念なことに、山門前に到着するまで、眼前を電車が通過することは無かった。 ３年前に訪れた時も確か工事中であったと記憶するが、今回も依然、山門と境内一部は工事中で脇道から入る。 このお寺さんと秩父事件との関わりを示す看板等も、確認しずらい。 雨中、向拝にて読誦後、列車音が背後に聞こえ、同行の何人かは急ぎ振向きカメラを構える。 先程の蕎麦屋の前の通りに出、目印の東電ビルを手掛かりに１４番札所に向かう。 途中 同行の１人が 『彼方に樹木が茂った境内らしき場所！』 と告げ、一同右折して八大竜王社御神木の前に出る。 賽銭を投じ祈る。 西側には池を囲むように八大竜王の幡が10流以上建ち、東側には鳥居の奥に神社が在る。 その間にいくつかの祠。 この祠の一つが１４番札所と記載した刊行物を以前 見ており、念の為、鳥居を潜り、中の（今宮神社）社務所に 『今宮坊は・・・』 と尋ねる。 『其処を出て、右折すれば、すぐ判ります。』 とのこと。 記憶が定かでないが、７年前に訪れた時は敷地も狭く民間の住宅に挟まれたように立ち、御朱印を頂いた処も坊から２０メートル以上離れた普通の民家であった。 蕎麦屋に案内してくれた彼も、『以前は このような雰囲気では無かったと思う 』 とのこと。 祭神を八大竜王とする今宮神宮と本尊を観音様とする今宮坊との関係は明治初めの神仏分離令までは一体となっていたようである。 江戸期以前の秩父34札所巡礼者は何の疑問もなく、八大竜王神を拝し、観音様に頭を垂れたのであろう。 西国33札所巡礼者が南円堂にて読誦する前後に春日大社にお参りするのと同じ感覚であったであろうと思う 今宮坊納経所には、今宮神社についての何の説明書も置いて無いようである。 諸般の事情で、現在飛び地となっている、八大竜王神霊地と観世音菩薩堂の双方を巡ることを強く勧める。 県道73号線に戻り、八尾百貨店の手前を左に曲がる。 このバス通り道も彼の結婚以後に拡張されたとのこと。 13番札所慈眼寺、面山門を入ると左に鐘楼、右に経蔵が在る。時間に余裕があるため、正面本堂向拝にて観音経全巻と心経を読誦。 左の寺務所にて御朱印を受領。 過去2回は年配の老女が日付も筆で書き入れて頂いていたが、今回も中年の女性に同じく毛筆にて記入して頂く。 経蔵には靴を脱ぎ入り、中の 摩尼（マニ）車を回す。 回転方向は無意識に反時計回りとしたが、間違えたかもしれない。 後日 再訪し 確認し、必要ならば 再挑戦したい。 徒歩数分にて西武秩父駅着。 本日の歩行数は横瀬駅出発時から19400余歩。 従来在った駅前土産店街が改修されて日帰り温泉施設が先月下旬にオープンしている。 併設された食事処は限られた空間を有効活用しているためか、高速道路のサービスエリアのイメージ。 騒々しいテーブルの一隅を確保し、各自 思い思いの飲み物で20分ほど喉を潤した後、しゃくし菜漬けとおつまみを買い足して17時05分発横浜中華街往きのＳ−トレインに乗り込む。 横瀬駅改札口から西武秩父駅改札口まで、歩数20000歩弱。 区切り3回目へ 観音巡礼TOPへ 秩父巡礼1巡目TOPへ 秩父巡礼（2巡目）TOPへ 秩父巡礼（3巡目）TOPへ |
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