秩父34観音（３巡目）（６日目）

区切り６回目（25、26、29、30番札所）

２０１７年10月28日

天候等の理由で、これまで延期を何度も余儀なくされているため、『土曜は午後からは雨が降り出すが、午前中は曇、日曜は終日雨』の予報を頼りに、前夜9時過ぎに『明日は予定通り実施』と皆に伝える。

7時13分所沢駅より乗る全席指定『秩父3号』は既に略満席,
　約半数は登山着着用者。　座っていた中年男性に自分らの指定席券を提示して移動して貰う。
　前々回、時間の都合等にて迂回をした、江戸巡礼古道久那みちを辿るのが今回の目的の一つであったが正丸峠トンネルを越えた時点で薄日が差しているのを確認。

　一同と『今日は予定通りの行程にて実施　』と意思統一。

西武秩父駅改札口前に10名弱の男女が待ち構え、パンフレットとグッヅを配っている。
良く判らぬまま受取った後、中身を見ると登山届 ( 登山計画書）の提出の勧めと２０１８年 1月1日からは特定山岳部への防災ヘリ救助出動に手数料が必要とのこと。
　（グッヅはミニ懐中電灯在中の小箱であった）。
たしか　防災ヘリは治療設備の不十分な過疎地での急病人発生の際、救急車などに代わる緊急輸送手段として、県ごとに所有していると聞いたことがあるが、埼玉県では登山事故対応として多用されているため、県警としては止むを得ない処置なのであろう。

　三峰神社方面行きのバス待ちの登山者の列の中、我々はミューズパーク往きに乗り、8時41分、酒造りの森バス停にて下車。
　江戸巡礼古道久那みち
　7年前の記憶を頼りにバス通りを登り、道標に促されて左折し、鶏舎のけたたましい鬨の聲に押されるように1度バス通りに戻り、再度左折して暫く登ると記憶にある眺望が突如現れる。

　山頂が半ば雨雲に覆われている武甲山を見て、『晴れていれば凄い眺めだが・・・』と告げる。
　同行の徒が道端に落ちている無数の果実の一つを拾い、匂いをかがせてくれる。
　花梨にこのような香りがあるとはしらなかった。感謝。

　　前回は気付かずに（若しくは記憶を喪失？）道沿いに小旅館並みの民宿が数軒存在。　秩父夜祭には全て満室になるのであろう。　鉄梯子を降りて巡礼古道は樹林帯に続く。

前日、前々日と晴天が続いたがその前の毎週連日の長雨によって、杉の落葉に所々覆われた凝灰岩の古道は滑り易く、杖で支えながら歩く。
　『夏なら蛇が出て来るような道だ』との声が出る。
　今でも出るのでは無いかと思うがこれまで秩父巡礼において『毒蛇注意』の看板標識を観たことが無い。

沢を渡り、坂を登るが長尾道程辛くはない。
今回、体調不良と悪天候予報とで大事を取った仲間達が後日　此の古道に挑戦するのを心配なく勧められる。

　降雨に遭わず、無事　野菜畑の端に出、巡礼道を久那小学校北側に至る。

　　左折して柳大橋に向かおうとしたが、折角此処まで来たのだからと、29番札所久昌寺の山門前迄行って拝礼。
　　友が山門扁額の文言『御手判寺』を問う。
7年前にお寺さんから伺った話をそのまま改めて伝え、手形を購入するか否かを尋ねる。
誰も買おうとは言わない為、其の儘引返す。
時刻は9時45分で酒造りの森から歩き始めて丁度１時間。

　　バス停の手前を左折して畑の中の舗装道路を歩く。
　　護国観音を指差し、此れからあそこまで歩くと伝える。

　　道端の新築家屋の庭先にアンテナ数の異様に多いテレビアンテナを認める。
　　友が『東京スカイツリーが建つ前だが、熊谷市では、アンテナを東京よりも前橋に向けた方が良く映った』とのこと。
川口や埼玉新都心の高層ビル群が東京タワーからの電波を遮っていたのであろう。

柳大橋の手前で　『　この辺り　いやに居酒屋が多い！』　と友が云う。
　下戸の自分は過去２回、何とも感じず通過しているが、言われてみれば付近に余り民家の見えないこのエリアに何とも不思議である。
過って近辺に町工場や作業所があったのだろうか？

橋を渡り、急傾斜の坂を喘ぎながら登る途中、パラパラと雨が降って来る。
いよいよ来たかと観念したが傘を出す程でもない。
　友が、『本降りになったら　ハイキングコースは無理かな？』と訊く。
『トラロープや鎖の岩場があるからね』と　応える。

10時30分丁度に予定通り秩父鉄道踏切を渡る。
友らに『あそこが影森駅！』と示し、記憶を頼りに札所を目指す。
　　途中26番札所への標識を見つけ、おかしいと思いながら右折し直進。
　　暫く進んでから 26番から27番へ通ずる途であったと気付くがやむを得ずそのまま進んで26番札所円融寺の裏門より入る。

本堂向拝に入った処で　一時止んでいた雨が再びぱらつきだし、リュックより、教本類の入ったビニール袋と共に折畳傘を取り出す。
友が『ハイキングコースは中止して三峰口から東に戻るコースに変更しようよ』と提案。今一人も強く反対しない為、時刻表を確認。
　『１0時51分には此処から（駅まで）10分かかるのでまにあわないが、次は11時13分発車』と伝える。
　『 11時までここにいられる』として、蝋燭、線香を供え、納め札を入れ、鰐口を鳴らし、賽銭を投ず。
（後で友から一連の振舞いの順序を尋ねられたが明確に答えられなかった）
　時間があるからと皆に断わり、懺悔文、開経偈、観音経全文、心経と　読誦し、心願を各自　念じた後　回向文を唱和し、御朱印等を受領し、リュックを背負い、杖と傘を手にし、数年前に比べ格段に手入れの行き届いた庭を鑑賞する暇もなく、慌しく正門を後にしたのが11時02分。
途中踏切で登り電車の通過を待ち、駅に着いたのが11時9分。

ホームにて空を見上げる。
右手には昭和電工の屋根と護国観音像が小雨の中に見える。
三峰行きを提案した友が『行こうと思えば往けたかな？』と呟く。
『いやっ　これから本降りになるだろうし、山の上はもっと降ってるだろう』　と返す。

　　定刻に来た電車はガラガラ、我々の乗った車両にいた客は白久駅までに全員降り、終点にて他の車両から降りた乗客も4～5人。
　　台風襲来を控えたこの時刻帯では無理もないかもしれない。

　　駅でのトイレを済ませ、傘をリュックに納め、線路沿いに東へ戻る。
　　傍らに建つ掲示板には　地区単位に　区　が使われている。
　　政令指定都市の　区　と異なるのは確かだが、郵便に使われる　大字　　との違いが良く判らない。

　暫く歩くと、右手に30番札所の指標が有るのを友が気づき、皆に伝える。
　『札所は　あの山の向こうに在るし、途中で合流する途も無かった筈』と応じると、『いや、山の手前でこの路と平行に走っているのでは？』と、東海道自然歩道を走破した友が返す。
　成程！と皆、自動車道から横道に入る。

確かに、小路は山裾と畑地の丁度境界に沿い、雑草に半ば覆われながら続いている。
右側の斜面には即、杉の木立が迫り、左側には区画整理されていない休耕田？や野菜畑が不規則に連なり、民家は先程別れた数十メートル離れた自動車道沿いに並んでいるだけ。

あの民家が立ち並ぶ自動車道が、元々からの巡礼道であったのではないかと、幅３０ｃｍに満たない、小路を踏締め乍ら思う。
新しく、あの自動車道が拓かれたので、この小径沿いから農家が便利さを求めて、家屋ごと移動したのかなとも、思う。
小径は徐々に上り坂となり、白久駅駅前から30番札所への舗装された急登り坂の途中に合流する。

三峰口駅に着いた時からの小雨が本格的な雨となり、一同、やむを得ず、リュックより傘を取出し開く。
　お寺さん到着10分程前に、公衆トイレの前を通過。以前から在ったか否か記憶に無し。

左崖下に旅館が見える。
その手前の駐車場には約30台の乗用車が整然と並んでいる。
土曜日の正午にこれだけのお客を呼べる旅館は、何か素晴らしいセールスポイントを持っているのか、若しくは何処か団体のイベント開催会場なのかと思う。

坂道が続き、歩き疲れた頃、入り口に到着。手前駐車場手前にトイレ舎がある。
これから本堂前までかなりの石段があるため、境内に長期滞在ならば、予め立寄るべきと思う。
手入れの行き届いたこの寺の境内は何時来ても絵になる。
　本堂向拝にて読誦後、雨足激しい中、場所をお借りして昼食を摂る。
幸い食事中、他の参拝客無し。
石段を下り、御朱印等を頂き、尚、下る。
　入り口近くに、幾つもの記念碑が建つ。

一つに、西国、坂東、秩父、鎌倉、最上　等とともに、三浦の文字が目に留まった。
　詳細を調べ、諸条件を満たせば、いずれ寄らして頂こうかと思う。

雨中、下山。眼下に白久駅を臨む地点にて、気付けば、右手に、29番札所、左手に３１番札所への道標がある。

右折して、杉林を抜け、踏切を渡って、自動車道に出る。

１４時０５分道の駅荒川に寄道する。
１０台以上の乗用車が駐車しており、何かめぼしい、珍しい物は無いかと館内に入ったが、普通の土産物屋と大差なし。
　　農産物も置いてあるが、なまじ、家庭菜園の経験があると、どうしても値札を観てしまう。
　　先日の21番札所傍の、農協直販店の方が、（季節にもよるが）質量ともに多彩で、お客も、地元の方々が、多かった。
　網に入った渋柿を観ながら、『果梗が付いて無いので、吊るすのが難しいな』　と等と思っていると、女性店員が　『　間もなく、　ＳＬが　来ます　』　と　売場の客達に告げる。

　　釣られて皆の後ろから外に出て、踏切脇にて待機、10秒も待たずに、眼前を通過。
『昔は、良く見たよなあ！　』　と　友の1人が　呟く。
確かに、最近は此の秩父鉄道か　大井川鉄道以外に　走行ＳＬを見る機会が自分にはない。
　背丈の高い陸稲の畑中を、黒煙を垂直に上げて疾駆するＳＬを見送ったのは、もう60年以上も前のことと記憶する。

一畝何某かの薩摩芋狩りの立札を眺めて、国道に戻り、雨の上がった緩やかな下り傾斜の歩道を歩く。
何ら道標が無いので、記憶を頼りに検討をつけて右折し、線路沿いに歩いて、武州中川駅手前にて踏切を渡る。　何処が巡礼道なのか不明。

道なりに歩いて、途中で、遍路道で在ることを道標で確認し、今回も千手観音堂の前は通らずに、29番長泉院に到着。
30番法雲寺を出発してから丁度2時間を要した。

雨あがりの境内、金色の銀杏の生垣の前を進み、本堂、向拝にて読誦。
　しばし、境内の風景を楽しんだ後、御朱印等を頂き、急坂を下り、諸上橋より浦山ダムをまじかに見て、浦山口駅到着。

同駅 16時39分発直通池袋駅行きに乗車。

　　西武秩父駅改札口から浦山口駅改札口まで、歩数30400歩強。

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