御府内８８札所(3)

３日目

平成２７年８月４日

都営浅草線終点の西馬込駅下車、第二京浜を五反田方面に戻る。　
iPad で8番札所長遠寺の位置を確認するが、お寺さんの山門位置が何処かまでは表示されず、馬込坂下の信号の所でバイクの郵便配達員に　国道をこのまま進むべきか、急峻な右脇道に折れるべきかを尋ねる。
配達員は心得顔で、『　この坂を登り、道なりに行くと　八幡様の隣に在ります　』とのこと。
電動自転車でも２速でパワーモードを必要とするであろう坂道を登る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山門越しの8番札所長遠寺本堂

　　八幡様の隣に墓地を認めるが反時計回りに迂回して8番札所長遠寺の山門より入る。（お寺さんは第２京浜を背中にして山門は略東に向いている）
　　丁度　山門前を荏原駅行きのバスが通過するを認める。
　　境内、庭木の手入れをしている３０代の男性に来意を告げると、『今　法要中なので、寺務所に行ってください　』　とのこと。
　本堂の右　別棟の寺務所にて　年配の御婦人から『　11時からの　法要が　間もなく終わりますで　其れまでお待ちくださいますか？　』　　と改めて問われる。
　　了解して御朱印帳を提出して境内の碑や像などを眺めていると、　再度呼ばれ、揮毫された御朱印とともに、麦茶　和菓子（京都三条河原町の和菓子屋製）と栞を接待された。
　　法事客が寺務所玄関に戻って来たので確認を取り、本堂外陣に入って読誦。
　　読誦中、背後の硝子扉の開閉の気配を感じるがそのまま続行。　
　　本堂退出後、先程のバスを思い出し、境内30代の男性に『最寄の駅はどちらですか？』と尋ねると、　『五反田方面に出るのならば、馬込駅』とのこと。
　　途中、蒲田駅行きのバスに擦違うも、教えられた道順を辿り、長野計器（㈱）の前を通って馬込駅到着。

京浜急行立会川駅下車、第一京浜を渡り、品川方向に戻りながら iPad を確認。
コンビニの角を廻った後日陰の場で画面に表示されるお寺さんの山門が敷地の南側か西側か判らず、偶々通行中の年配男性に表門の所在を尋ねる。　

　男性は　『其処を曲がって、左側が山門！』　と笑顔で応対。　　　謝して右折する。　
２６番札所来福寺参道から仰ぎ見る山門は御府内の名から連想する江戸下町のイメージよりも、寧ろ　先年廻った武蔵野３３観音霊場を想起させる。
　　（後日　確認したところ、明治になってから四谷の寺院から札所を移したとのこと）　
　　寺務所にて御朱印帳返却の際、仏教聖典抜粋小冊子と江戸名所図会コピーを頂く。　
　　立会川より北側に位置するので、御府内（江戸市街）と認められたのか？と想像。
蝉時雨の中　本堂向拝にて読誦。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２６番札所来福寺参道から仰ぎ見る山門

　　立会川駅から品川駅乗換えで地下鉄三田駅下車。

　　出口を間違えて地上に出たが、昼時　若者の闊歩する街中で iPad を開くのは躊躇われ、漸く三田図書館を確認して桜田通りに出て北進。

　途中商店の奥さんに確認して左折し、１３番札所龍生院に着く。
　　路地の突き当りに荘厳華麗なビルが建つ。
　　1階受付カウンタにて来意を告げると本堂は４階ですので背後のエレベータでどうぞとのこと。
　　納経帳を預けて４階エレベータを降りる。
　　深川不動尊内仏殿を想起する構え。
　　香を供え、観音経全巻、心経等を読誦。
　　1階受付に戻り、丁寧に紐綴じ直された納経帳を女性事務　員から受領。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１３番札所龍生院ビル

　　三田二丁目まで戻り、五反田方面への標識で右折し、慶応大正門を右に見て道なりに進むにつれて　周りの華やかな景色は一変する。

　　通りの左側は殆ど寺院のみ。
　　谷中や先日廻った元浅草や四谷若葉地区以外にこれほどの寺院の密集した区画が都内にあるのをこの歳にして始めて知る。
　　何軒かの寺院前を通過して路地入口に８０番札所長延寺の案内板があるのを確認。
　　左折して集合住宅ビルの1階玄関横の呼鈴を押し、どうぞの声で中に入る。
　靴を脱ぎ、玄関横の本堂に案内され、それなりの広さを有する外陣にて読誦。　
　『暑い中、ご苦労様です。』　と御朱印を頂いてビルを出る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８０番札所長延寺ビル

　何軒かの寺院の表札を確認して69番札所宝生院の山門に至る。
　山門奥の駐車場然の広い空間を前にして、建造物が数軒並んでいる。

　寺務所らしき建物の呼鈴を数度押したが反応無し。
　敷地南隅の石碑群を見た後、ガイドブックに基づき　次の札所に先行する。
　　途中葬儀会場の看板の立つマンションビルを通過し、
　　目黒駅経由等々力行きと恵比寿駅経由渋谷駅行きのバス停を通過し、
　　林泉寺の表札ある山門前を通過し、表札の無い現代建築の寺院？のエントランス前を通過して、クリーニング屋前に至る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　６９番札所宝生院

　店に入り、女主人に大聖院と明王院の所在を訊く。
　主人はどちらの名前もあまり聞いたことが無いと言って抽斗から町内会用の地図を取り出し、カウンタに広げる。

　地図によれば、小さな敷地の大聖院はとっくに通り過ぎており、明王院もこの国道1号線に沿って林泉寺の北側に記載されているとのこと。
　　礼を述べ、来た道をゆっくり戻るが両院とも認められずに宝生院前に至る。
　宝生院にて再度呼鈴を押すが応答無く、再度、クリーニング屋に向かう。
　　先程の葬儀会場では係員達が看板を片付けており、念のため伺うと此処が大聖院とのこと。
　マンション然とした玄関に声を掛けてくれて間もなく出てきた女性は、『　葬儀が終わった処なので、本堂でのお祈りは出来ない。納経は大丈夫です　』とのこと。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　６５番札所大聖院の銘板

　　又、宝生院は必ず何時も人がいる筈で、明王院は入口はこの通りに面していなく、脇道に入った処と慌しく、しかし、丁寧に説明された。
　御朱印を頂くまでの間、御真言を唱え、後片付け最中の玄関前を退出。

　　国道1号線と平行に走る脇道の両側にも寺院の山門が並ぶが 84番札所明王院も確かにその中に在った。
後日　インターネットで確認すると墓地の一部が国道1号線に面しており、クリーニング屋の調べた地図の記載に誤りは無かった。

異様な古い石像の並ぶ境内には、先日南麻布の５番札所や魚藍観音と同じく　集合住宅棟や民家然とした建物が諸堂とともに建つ。
本堂前、向拝を眺めていると右脇の家から初老の男性が現れ、何用かと問う。
経は其処であげてくれと言われ、納経はするのかと問う。
500円硬貨を出してつり銭を願うと失礼だろうと言う。
それではと、賽銭用の小銭入れを別途取り出して、１０円硬貨を数えだすと　今度は今日は特別500円を両替するという。　不愉快極まりなし。　
　向拝にて　観音経全巻　心して読誦。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８４番札所明王院山門

　　懺悔文　貪瞋痴の言葉在り、　暑さの所為かと思う。みたび宝生院に向かう。
　　宝生院にて呼鈴を鳴らすも、応答無し。
　　御縁が無かったと諦め、本堂と思しき建物の前で　お題目と御真言を唱えて退出。

　予定では　白金高輪駅まで歩き目黒の4番札所高福院に詣でる心算であったが、先程の三田五丁目のバス停前に至り、方針を変更。

　　約３分の待ち時間で渋谷駅行きに乗車。　恵比寿駅の次の東三丁目バス停にて下車。　明治通り信号を渡り、徒歩2分で7番札所室泉寺に到着。　

　境内の手入れの行き届いた樹木の合間に諸像、碑、塔が建つ。
　　鐘楼があり、他の寺院のように、撞木の綱が拘束されていないのを確認したが、そのまま寺務所に向かい、来意を告げる。　
　『お参りは済ませましたか？』の問いに　本堂に入ることの許可を求めると　『　どうぞ、　扉は開けられます』　　とのこと。
　　　 7番札所室泉寺本堂

　　　堂内にて読誦後、扉を閉めて退出。　寺務所にて住職に　次回の訪問時に鐘を撞くことが可能か否かを伺う。
　　　住職はにこやかに『　撞かれると周りの方々がびっくりするでしょうし、大晦日にはどなたでも撞くことが出来ます。　』　とのこと。　納得して退出。

　時計を見ると16時１５分であったため、これから目黒駅に寄るのは断念し帰宅の途につく。

西馬込駅から恵比寿駅まで14100余歩

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