御府内８８札所（11）

11日目

平成２７年１０月１０日

　京王線多摩動物公園駅下車、駅員に２５番札所長楽寺の場所を尋ねると正面の小高い丘を指さし『あの建て物です、動物公園の横から階段があります。』と応える。

　深く考えず正面の動物園の入場券販売所まで行って、横にお寺さんへの非常用通用階段でも在るかと確認したが見つからず、結局駅前の車道まで戻り、駐車場の前を通って石製門柱の車両用正門より境内に入る。

　急勾配の車両用道路の横に同じく急傾斜の石段があり、手摺にすがって登る。登り切ると確かに東南方向抜群の視界。
　大師堂に正対して寺務所の表示の建物が建つ。　
　寺務所の内部に男性の影を硝子戸越しに認め、会釈して戸を開けて入ると男性は
　『　私はお寺の者ではないのですよ。檀家です。誰も居ないみたいで困っているのですよ　』　とのこと。
　棚上に置かれた墓参用の御線香を買求めたいそぶりである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２５番札所　長楽寺境内仏足石
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　カウンタ脇の案内と大書された番号に試しに携帯電話で架けてみると机上の固定電話が鳴り、それに応じて隣室への扉が開き老婦人が姿を現した
　男性はほっとして老婦人から御線香を点火して受取り私に会釈して寺務所から出る。
　入違いに遍路者が２名入室し、各々納経帳を提出する。
　老婦人は我等３名に対して寺務所正面に位置する大師堂にてお参りするよう告げる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　他の２名は前後して戸外の大師堂に向かう。
　老婦人に『本堂は何方ですか？』と伺うと『　お参りしますか？　戸は閉まっていますが左手です。』　とのこと。　

　了解して戸外に出、建物沿いに１０メートル弱歩くと別の戸口があり、硝子越しに内部に本堂祭壇が見える。
　硝子戸が開くかと把手に手を掛けていると、先程の男性が線香片手に背後から『開きませんか？　開いているときもあるんですが　』　と声を掛けてきた。
　頼めば開けてくれる筈とのことで、礼を述べ、寺務所に引き返す。
　老婦人に『可能であれば　戸口を開けて頂き、内部の三和土の処にて　お経を唱げさせて頂きたいのですが』と　述べると、割と簡単に『　お待ちください　』　と云いつつ、杖を片手に隣室に向かう。　
自分も再度外部から先程の戸口に向かい、開錠を待って三和土に入る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２５番札所　長楽寺本堂外陣の扁額
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　老婦人は『其処まで来たのですから、（祭壇の）前までどうぞ。戸は閉めておいてください。』と述べ、内部に姿を消す。
　改めて靴を脱ぎ、本尊厨子の前にて観音経、心経を読誦し、不動真言を唱え、故人の冥福を祈り、身内への加護を願う。
　本堂戸口を再度閉め、寺務所前に戻り、大師堂前にて　光明真言、偈、心経を唱える。
　寺務所にて預けていた納経帳を受領の際、老婦人は札所巡りの人が持つ綴式の納経帳はお寺さんでの綴じ直しが大変なので　当日巡るお寺さんの数だけ別途空白用紙をクリアファイルにて持ち歩いた方が幸便であると　態々　Ｂ５サイズ用に裁断した専用クリアファイルを　御接待頂いた。
このお寺の敷地は約１万坪で、春の桜の季節は素晴らしいが、足腰の弱くなった今は維持管理が大変で植栽業者への年間支払額も相当になるとのこと。　大師堂の手前には仏足石が在る。
山門までの帰途は急勾配の車道を下ったが、途中、いくつもの石像、石碑を確認。

　　　　　　

　　京王線千歳烏山駅下車。ガイドブックも携帯タブレットも持たずに出掛けた為、ガイドブックの巻末記載マップのおぼろげな記憶を頼りに商店街を北進する。実は北口から出るところを誤って西口から出て、気付かずにそのまま北進したため、目標としていた交番に遇わないままに甲州街道に出る。やむを得ず横断歩道にて信号待ちしていた男性に『寺町通りはどちらでしょうか？　多門院というお寺さんに行きたいのですが』と　声を掛ける。

　　　男性は気軽に　『　ああっ　多門院さんね、右の一つ先の信号の処を入って高速道路を潜って最初のお寺さんですよ　』　と事も無げに応える。　
後から思うに　よくもまあ運よく、適任の方に道を尋ねたと思う。
教わった通り（途中左手に超モダンな建築の区立小学校が在るのを認めて）　約１０分ほどで３番札所多門院に到着。　
境内左手には保育園にあるような小奇麗な遊具があり、続いて休憩所の横に、諸像が並び　近在？の親子連れが静かに休んでいる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３番札所　多門院境内涅槃レリーフ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　右手には涅槃図の石製レリーフがある。　なんとなく良い緊張感が漂う。
　
正面。本堂向拝にて読誦。　右手庫裏にて御婦人より御朱印を受領して退出。粗１本道にて千歳烏山駅北口に戻る。

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