御府内８８札所（１４）

１４日目

平成２７年１０月２６日

　清水橋から山手通りを南進、西新宿四丁目交差点
の一つ手前を右折して不動通り商店街を進む。
　右側に大きな石柱が建ち、その間を境内に入る。
　傍らで女性が掃き掃除をしており、挨拶すると、
『御朱印ですか？あそこに行ってください』　と右前方
の壮麗な御堂を指さす。
　　『お参りしたいのですが・・・』というと、『ですから、
あそこでお参りしてください』と続け、少し離れた場所
で同じく掃除をしていた男性に合図すると、男性も作
業を中止し、御堂に向かう。
正面賽銭箱の前の扉は閉まっており、その横の小
窓が納経の受付窓口になっている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　荘厳寺不動堂(幡ヶ谷不動)

　横の扉から入った男性に納経帳を差し出しながら、『本堂内に入れますか？』と問うと、『入れま
せん。其処で拝んでください』　とのこと。　

　読誦しおえ、隣の札所と記された窓口にて御朱印帳の返却を受け、改めて巨大な石碑が並ぶ
境内を一周する。すると、御堂の左奥に山門を認める。

　庫裏への通用門かと近づくと　門柱に『　荘厳寺　』の看板。　

　掃除続行中の女性に確認すると、門の奥に本堂があり、先程お参りしたのは不動堂とのこと。
　改めて、彼女に許可を求めて山門をくぐると　中は日本庭園、通路沿いに大師堂があり、右折すれば正面が本堂。本尊は薬師如来。
　双方の御堂の前にて読誦する。山門に引返し、其処に居た彼女に、『　この山門の前の広場は、境内と呼んでいるのですか？』　と訊く。
　彼女は私を先程の不動堂賽銭箱手前まで誘い、正面扉を開けて内部に入る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１番札所荘厳寺本堂と大師堂

　中央には閉ざされた厨子が在るのが、開けた扉越しにわかる。
　彼女は『　毎月28日はこの扉は開けるが、厨子は開かず、不動明王は拝めない　』　と説明し、　幡ヶ谷不動荘厳寺　と記された小冊子を　どうぞ　と　差出した。
　『 28日の縁日には夜店が出るのですか？　』と伺うと。　子供の数が減って採算がとれなくなったためか、１０数年前に取り止めたとのこと。　改めて山門の写真を撮って退出。

山手通りに出ると　丁度　中野行きのバスが来たため　飛び乗り、中野坂上駅にて大江戸線に乗換え、中井駅から中井通りを西進する。
以前豊島８８札所東光寺にお参りした時に通過して以来数年ぶりで、記憶を頼りに歩き、58番札所光徳院に到着。

山門脇の車専用路から境内に入る。
右側に観音堂、左手に五重塔、正面が本堂。
本堂右手からは廊下で庫裏に繋がる。
本堂向拝前にて読誦後、庫裏玄関にて御朱印を依頼。
玄関板の間の上に変形文庫本タイプ（後日　調べたら　小Ｂ６判と云う）　の新刊本が数冊　平積みされており、脇に『自由にお持ち帰りください』のメモが付いている。
　本の表題は『御府内八十八カ所霊場案内』　
　　 58番札所光徳院山門と五重塔

奥さんに頂戴してもよろしいですか？　と伺うと、『 20年ぐらい前に出された本で、構成に問題がありますが、内容は（今も）変わっていないので　どうぞ・・・・　』　とのこと。
　後日　中身を拝見すると、1931年生まれのキャリア女子がインターネットの無い時代に独り巡拝し、資料を集めて1988年に初版を出した本の改訂版である。
たしかに札所の掲載順序に戸惑う点はあるが、御府内８８札所巡りガイドブックとしての将に先駆である力作で著者のＮ女史に敬意を表したい。
1番札所にて購入したガイドブックともども　参考にしたいと思う。（栴檀社・星雲社発行）

光徳院の奥さんの助言に従い隣の東光寺との間の坂道を登り、三井文庫の脇を通って新井薬師駅前の踏切を渡り、新井薬師に到着。

新井薬師の正式名称は梅照院、第71番札所。
学生時代から通算３回訪れているが、最後の参拝から30年は経過しているであろう。
境内についての記憶は一切無い。
手水の裏手の井戸（蛇口が付いている）には年配の男女が大きなポリ容器をいくつも持って順番に並んでいる。
丁度昼休みの時間帯のためか、ワイシャツ姿の男性を含めて参拝客は跡を絶たない。
　本堂正面賽銭箱前の扉は大きく開かれ中央の前立像をはじめ、内部の諸仏は向拝より容易に拝顔できる。
　　７１番札所梅照院本堂

　　正面賽銭箱の上に平仮名の『め』の字を二つ並べた眼帯状の御札？が数枚、御供えされている。出雲、一畑薬師と同じく　当薬師さんも眼病に効験あらたかなるを知る。（当薬師を別名『目の薬師』と称するとのこと）
　　読誦し、右手の受付にて御朱印受領。
　　本堂背後には職人自らが製作奉納したとの説明板と共に、聖徳太子像が建つ。

　　新井五差路から沼袋駅前踏切を渡り北進し、以前お参りした豊島88札所実相院の脇を通り右折して、明治寺の境内に南側より入る。

　境内東側の１００観音公園には西国、坂東、秩父の100観音像が散策路に沿って並ぶ。
　よく整備された無人の本堂に入り、偈と心経を唱え、北側の門より退出、右折して塀に沿って歩き、41番札所密蔵院に到着。
　専門用語では冠木門と称する、簡素な造りの門を構え、正面本堂の扉は開放されており、境内より内陣の本尊を仰ぎ見ることができる。
　本堂横で作業中の男性に来意を告げると　どうぞと　内部より声が掛かり80歳代の老僧に外陣に案内され、蝋燭が灯される。　
納経帳を預け、本尊前にて開経偈から回向文まで読誦。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　41番札所密蔵院山門

　　斜め後ろに控えて居られた老僧が最後に御真言を唱える。
　　一緒に経を唱えて頂いたのは豊島８８札所47番城官寺以来である。
　『次は何方にお参りですか？』と　親しく声を掛けて頂く。
道順からいえば当然2番札所東福寺と応える処であった。江古田4丁目バス停経由帰宅。

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