御府内８８札所（１２）

12日目

２０１５年１０月２０日

　小田急線秦野駅改札口前の売店にて、菓子パンとお握り、清涼飲料水を買求め、９時２分発蓑毛行きのバスに乗り、約２０分で終点到着。
　一緒に降りた何人かの登山服姿の男性がストレッチを始めたのを後に、一人登山道を上る。
　数分にて常夜灯が現れ道が分かれる。
　まっすぐ行けばヤビツ峠経由大山山頂で、数年前に友人達と辿った登山路。
　右に行けば蓑毛越経由大山阿夫利神社下社。自分は今回左折して休業中の割烹蓑庵前に至る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　77番札所仏乗院本堂

　庵の右側の狭い石段を上ると７７番札所仏乗院の本堂前に出る。本堂正面の扉は閉ざされているが、左に回ると側面の戸は施錠されていない。
　棟続き左手に庫裏が在るのに気づき、犬注意の貼紙だらけの硝子戸玄関横の呼鈴を押す。
　突如、室内より数匹の吠え声がし、硝子戸越しに幽かに中型犬が飛び跳ねる様を認める。
　暫く待って再度呼鈴を押すが事態は変わらず、主は留守と判断し、やむを得ず引き返し、戸を開けて無人の薄明かりの本堂内に入る。
　

　賽銭を供え、鉦を鳴らし、観音経、心経等を読誦。本堂前の人工の滝の音が良く耳に入る。
　知らず、滝の音に合わせて読誦。

　回向文を唱えた後、改めて祭壇を仰ぐとお供え物の大半が幼児向けの菓子類と気付く。理由は不明。
　一礼して戸を閉め、本堂から再度庫裏に向う。
　呼鈴と共に再び吠え声。諦めて引返そうかと躊躇していると内部に人の気配、やがて、戸が開く。
　『留守と判断して無断で本堂に入り、今読誦を済ませた処です』と詫びると　『ええ、今　留守にしてました。』　と気さくに応じる。
　母親が亡くなった後に閉めていた隣の庵は間もなく取り壊し、其の跡に客殿を新築予定とのこと。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　77番札所仏乗院境内

　常夜灯まで戻り道標に従い下社に向かう。途中蓑毛越にて休息中の青年と出会う（１０時５６分）。
　　

　彼は朝６時半に秦野駅を出発し、弘法山、浅間山を踏破し、これから大山山頂を目指すとのこと。
　若さを称え、彼からは励ましを受け、其処からは歩行速度を上げて３０分弱で阿夫利神社下社に到着。
　参拝後　御朱印は先年、既に受領済なので社務所には寄らず。婦人団体登山者で混雑する境内ベンチにて昼食を取り、ペットボトルに御神水を補充し、境内獅子山の写真を撮り、女坂を下って大山寺を目指す。
　先程の蓑毛からのコースと異なり、このルートは未だ紅葉前の平日なのに、粗数分毎に、様々な登山者と擦れ違う。
　下社本堂から大凡３０分にて大山寺境内に到着。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿夫利神社下社境内の獅子山

　境内には１０名程度の登山者、参拝者が居たが、阿夫利神社下社の賑わいとは比較にならない。
　偶々　男性二人が本堂天井近くに釣竿のような器具を用いて千社札を貼付けている最中で、自分も他の参拝者と一緒に手際の良い作業を見物した。
　関東３６不動の１番札所の当寺で専用御朱印帳が入手できると　先日平井の目黄不動にて伺っていたので、受付にて御朱印帳の購入をも申し込む。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　関東36不動尊1番札所大山寺本堂

　堂内での読誦の可否も併せて伺うと　係員は今月28日までが秘宝の特別御開帳なので　よろしければ前立不動の前では無く、奥の御開帳されている本尊の前でどうぞととのこと。　600円の入場券を買い、案内板に従い前立不動の背後の通路に入る。

　普段は28日も含めて非公開の愛染明王像、如意輪観世音菩薩像、三面大黒天像と共に　国宝不動明王像が中央に立つ。
　尊顔には何處か見覚えがあるように思う。
　この大山寺には今回初めて参拝するのであるから、昔、画集か写真展で見た記憶が脳裏の何所かに残っていたのか、若しくはこの不動明王像に感銘を受けた仏師が新たに刻んだ明王像を自分は何所か他の別の寺院にて拝観しており、その時の記憶が今蘇って来たのか、それとも・・・・・・・・・、知らず、尊顔を仰ぐ。
　不動真言、心経を唱える。　見飽きることが無し。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大山寺境内宝篋印塔

　正対する　三面大黒天像も含め無人の空間にて一人　明王像と対面させて頂いたこと　ありがたく思う。　

　　順路札に導かれ前立不動の前を通って受付横に戻る。
　三々五々訪れる後続の参拝客はいずれも堂の賽銭箱の手前で手を合わせた後、即　引き返す。
　彼等に対して、『（600円有料ですが）御開帳を拝観した方が良いですよ！』と　声を掛けたい誘惑に耐える
　境内左手には巨大な青銅製宝篋印塔が建つ。
　しばし壁面の彫刻を鑑賞した後、案内板に従い、願い事を念じて時計回りに３周する。
　途中　大山ケーブル駅からの道と合流し、土産に柿を1袋購入し、13時35分発のバスに乗り、伊勢原駅発14時6分発の電車で新宿駅に15時1分に戻る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大山寺山門前の石段

（今回のような　特別期間を除くと、国宝不動尊像の公開は　毎月８、１８、２８日　とのこと）
　　蓑毛バス停から伊勢原駅ホームまで概略16000余歩

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